検証・テスト作業の効率化で、
手戻りを減らし開発スピードを向上
ロータリー除雪車で日本国内で約7割のシェアを誇る、川崎重工グループの「株式会社NICHIJO」様。
製品に搭載される組み込みソフトウェアの評価ツールとしてViCSiMを導入いただいておりますが、具体的にどのようにご利用いただき、どのような効果がでているのか、制御開発部の平山様、金田様にインタビューさせていただきました。
通信相手がない状態でのソフトウェアの評価が課題だった
- ViCSiM導入前にどのような課題がありましたか?
製品(除雪車)内の通信規格として、早い段階からCANを使用していました。
弊社ではエンジンなどの外部機器を制御する組み込みソフトウェアも社内で開発していますが、そのソフトウェアを評価する過程で、通信相手がない状態でデバッグをする必要があり、非常に苦労していました。
海外大手のCANシミュレーターも検討しましたが、100万円超と非常に高価であったため導入を見送りました。
そのようなときに、専門誌の広告でViCSiMを見つけ、資料請求したことが購入のきっかけです。
ViCSiMはCANシミュレーターとしては20万円弱と低価格だったため、社内の稟議を通しやすかったです。
最初はトライアル的に2台ほど購入し、実際に使用してみて『製品評価に必要な機能は満たしている。これで十分評価できる』と感じたため、徐々に導入台数を増やしていきました。
実機データを再現するログ再生シミュレーション
- リピート購入の決め手となったポイントはどこですか?
機能として一番良かったのはログ再生シミュレーションです。
例えばエンジンなどの外部機器をCANで制御する際に、エンジン側からのフィードバック(CANデータ)も見ながら、細かい制御をする必要があります。
実機から取得したCANデータのログを、ViCSiMを使って再生シミュレーションすることで、机上で製品評価できるところが気に入っています。
他社のCANツールでは、シミュレーション用のシナリオデータを細かく作成しデバッグできることは知っていましたが、シナリオデータを作成するのが大変そうだと感じていました。
一方でViCSiMは、『ターゲットのCANデータを記録して、そのまま再生する』というログ再生シミュレーションを、シンプルな操作で行えるという点が決め手となりました。
開発からリリース後の評価段階まで活用
- ViCSiMを実際にどのような場面で使用していますか?
基本的には製品開発の評価段階で使用していますね。
新規開発時だけではなく、製品リリース後に機能アップデートがある場合にも、追加機能の評価段階で使用しています。
ACK返答機能も重宝しています。
ソフトウェアが開発途中の段階で、ターゲットと繋いだときに、もしACK返さなかった場合、通信エラーとなりとCANバスがバスオフ状態になってしまいます。
そのような場合でも、ViCSiMをCANバスに接続しておくと、ViCSiMがACKを返してくれるので、バスオフ状態にならずにCANデータのモニタリングや、動作検証できるのが便利です。
それとシミュレーションデータを作成する際に、社内で作成した独自ツールを使ってCSV形式でデータを作成し、それをViCSiMに読み込んでCANシミュレーションさせています。
ViCSiMはシミュレーションデータの構成がシンプルで理解しやすいため、このように社内独自の工夫ができるところも良いですね。
手戻り削減と迅速なデバッグを実現
- 導入前、導入後を比較してどのような効果がありましたか?
導入前は机上でのデバッグができなかったため、実機検証で不具合が見つかり手戻りが発生していました。
ViCSiMを使うことで、机上でソフトウェアの十分なテスト・評価ができるため、後工程において不具合による手戻りを大幅に減らすことができました。
除雪車は自動車とは異なり、開発期間を長くとることができないのが実状です。
ソフトウェア開発が終わったらすぐに実機投入して、テストコースで検証を行うなど、開発にはスピード感が求められます。
ログ再生シミュレーションで実機検証と同等の評価を机上でできるので非常に助かっています。
操作方法が簡単で、すぐ現場に導入可能
- その他にViCSiMの満足している点がありましたらお教えください
アプリケーションの使用方法がとても簡単で、新入社員や途中からプロジェクトに参加した要員でも、特に苦労せずに使える点も満足しています。
それと、本体が小型で軽量なため、現場に持っていきやすい点も気に入っています。CANバスへのアクセスも、線を繋ぐだけで簡単に行えるのも良いですね。
このようにViCSiMを導入することで、NICHIJO様の製品開発におけるデバッグ作業が大幅に効率化され、手戻りの削減と開発スピードの向上を実現しました。
簡単な操作性と手軽な携帯性も高く評価されています。
- 本日は貴重なお話をありがとうございました。